映画雑記

濱口竜介『ドライブ・マイ・カー』

今年のカンヌといえば、調子に乗った還暦のカラックスが小汚い出立ちで所構わずタバコを吸っているところを(映画作家のテンプレ的姿として)マスコミにフィーチャーされ、大衆のオモチャになっている様を見せつけられたことまでは記憶している。自分のヒーロ…

アピチャッポン・ウィーラセタクン『世紀の光』について

久しぶりに映画を見た。リハビリでお気楽なアクション映画でも見ようかと思っていたのだけれど、何故か抗えない意志の力によって手にとってしまったのはアピチャッポンだったので、これまた久しぶりに記事を書いた。ちなみに僕がアピチャッポン映画を見るの…

UPLINK潰せばいいんじゃないですか?

今泉力哉監督がツイッターで「アップリンク、俺は今後も行きますよ。アップリンクをよくしたくて声をあげたわけだと思うので。」とツイートされてた。僕は個人的にアップリンクは潰れてもいいと思ってる。というか、アップリンクは今の映画文化空間のキツす…

ボビー・オロゴン逮捕―妻の独白―とカサヴェテスの諸監督作品は完全に繋がっちゃってるんだよね、って話。

これは『オープニング・ナイト』を見ていて、カサヴェテスがリハーサルでジーナ・ローランズをぶん殴ってから「触っただけだ」と言ってのけたあたりに閃いたことだけど、カサヴェテスの作品群を貫く主題はボビー・オロゴンの逮捕時の妻の告白(URL記事参照)…

テオ・アンゲロプロスについて

・「長回し」について アンゲロプロスの長回しは恐ろしく長い。カメラワークは例えば屋内においては柱などお構いなしに対象の運動を追い、空間をぶった切る。『旅芸人の記録』などでは空間を横断しつつ時間をも横断することがあり、とにかくダイナミックなカ…

アンドレイ・タルコフスキーについて(アンゲロプロスを引き合いに出しつつ)

タルコフスキーの映画には『ローラーとバイオリン』『僕の村は戦場だった』『アンドレイ・ルブリョフ』『惑星ソラリス』『鏡』『ストーカー』『ノスタルジア』『サクリファイス』がある。映像の詩人は寡作であり、その作品のどれもが圧倒的な完成度を誇って…